年齢別アドバイス

「はじめてのお片づけ」 1~2歳対象

・はじめてのお片づけという意識を持つ。理解できるのはいつごろから?

 モノの分類ができるのは、一般的には3才頃と言われますが、整理収納教育士として接してきたお子様たちの中には、2才で食事や着替えなどができるようになってくるお子様もいらっしゃいました。
 子どもの成長に合わせ 、2~3才頃から「片づけ」という言葉を使って、意識付けをしていくとよいでしょう。
 0歳~3歳くらいまでは、模倣の時期ともよばれ、親や周りの大人のすることをとても良く観察しています。「片づけができる子どもに」と考えるのなら、0歳児のころから、まず親自身がそのお手本となるよう片づけをする姿を見せてあげるようにしてください。
 また、好奇心のかたまりであるこの時期は、「なぜ」「どうして」を連発し、冒険に挑む時期でもあります。おもちゃに限らず、モノを出したり入れたりすることに興味をもち始めたら「片づけ」を促すのにいい時期だと思います。「片づけ」を楽しい遊びの一つとして、ゲーム感覚で片付けを体験させ、 「すっきりして気持ちがいいね」と言葉かけをすることで、片づけは楽しく気持ちの良いものだと繰り返し経験することから学んでいくことが大切です。

・小さなお子様のいる家庭のお片づけのポイント
 ポイントその1.《わかりやすい工夫》
 ☆自分のおもちゃだけをしまう場所を決める(兄弟のおもちゃが混ざっていたり、おもちゃ以外のモノが混ざっていたりすると迷います。自分のおもちゃとそれ以外のモノは、分けてしまえる場所を作りましょう)
 ☆おもちゃの種類ごとに箱で分け、ラベルをつける
 車、ぬいぐるみ、ブロックなど、種類ごとにしまえるように、箱で分けましょう。また箱には何をしまえばよいのか、絵でラベルをつけておくと分かりやすいでしょう。


 ポイントその2.《取り出しやすい工夫》
 中に入っているものがパッと見てわかる程度の量にする、高さや奥行がある箱に入れると大量におもちゃを入れすぎてしまいます。取り出しやすさからも、高さや奥行が浅い箱に入れるようにしましょう。


 ポイントその3.《整理整頓を促す工夫》
 ☆子どもに判断をさせる
 「入りきらなくなったおもちゃはどうすればいい?」
 「おもちゃがぎゅうぎゅう詰めでこわれてしまいそうだけど、どうする?」
 「これはここでいいのかな?」「おもちゃが仲間はずれになっているよ」


 ☆片づけを遊びの一部として考える
 片づけるときには歌を歌う
 「よーいドン」で片づけをする(その時早ければいいというモノではない、丁寧にする事も評価したい。)
 何個片づけられたかゲームをする(数のゲーム)

・お母さんの(お父さん)の声かけのコツなど。

 「片づけ」とは、今やっている行動に“片をつける(けりをつける)”ことだとも言えます。片づけをすると次にする行動がスムーズにできるようになります。片づけたことで、先の行動を予測できるような言葉をかけるとよいでしょう。例えば「ごはんにするから片づけよう」とか「寝る時間だから片づけよう」と、何のために片づけをするのかを分かりやすく伝えてあげるとよいでしょう。


整理収納教育士

「自分でおかたづけ」3歳~5歳、幼稚園児

・幼稚園入園までに身につけたいお片づけの習慣

 「片づけ」とは、単純に「使ったモノをもとの場所へ戻すこと」ですが、そこには様々な思考が働いています。片づけに至るまでには、モノ分類し、判断して、元の場所に戻すという、実はレベルの高い行動が必要なのです。ですから、これら一連の行動を期待するのではなく、整理収納教育士では、「分類」・「判断」・「元に戻す」と分けて、それぞれを習慣にしていくように伝えています。
 例えば、お洗濯したソックスを持ち、「これとこれは、仲間かな?」とか、食事の支度時に、「お茶碗と一緒に使うものはどれかな?」、おもちゃを片づける時には、「積み木を集めてみよう」という声掛けで、お片づけの前に分類することを体験させる。 シール絵本は、「シール、ぺったんこできなくなっちゃったね」で、捨てるかどうかの判断を問いかけます。元に戻す場所に、おもちゃのイラストを貼り、絵合わせパズルのような感覚で、使ったら戻すことで習慣化させる方法があります。

・幼稚園、保育園グッズ 収納のポイント

 幼稚園・保育園のグッズは毎日使う必要なモノです。朝のお仕度が子どもにもでき、毎日楽に続けられる収納方法とは、「かんたん・分かりやすい・楽しいが」ポイントです。
 例えば、制服をハンガーにかけるのは、子どもにとってはハードルが高いですが、タグをひっかけるだけにして吊るすのなら簡単です。
 毎日持っていくモノを、イラストや文字で書いたカードをつくり、それを見ながら袋に入れていくと分かりやすいでしょう。その際やみくもに入れるのではなく、下の方に入れたいものから順番にカードに記入しておきましょう。そして、順番通りに入れることで、きれいに収まることを体験させるとよいでしょう。

・増え続けるおもちゃに加え、絵本、お絵かき道具などの収納のコツ

 「片づけやすい」収納ではなく、「使いやすい」収納にするには、どうすればよいのかを考えてください。その上で、「モノは使うためにある」ということをしっかり認識させましょう。
 増え続けるおもちゃに対して、今気に入って遊んでいるおもちゃは、「1軍」ちょっと前に遊んでいたおもちゃは、「2軍」として、子どもにとって“ちょうどいい量”を与えてあげましょう。2軍のおもちゃはいったんしまって1軍おもちゃに飽きたころ交換して遊ぶと新鮮で喜ぶこともあります。絵本は読むために、お絵かきは絵を描くためにクレヨンや画用紙を買ったのですから、子どもが「読みたい!・お絵かきしたい!」と思える収納を心がけます。使う人のことを思って考えられた収納は、きっと片づけやすい収納になっていることでしょう。

 ☆絵本の収納
 表紙が見えるように絵本を並べて置いたり、お気に入りの絵本だけをすぐとれるよう、置いたり、いつも同じ絵本ばかりを並べておくのではなく、たまに配置を変えたりすると興味をひくと思います。まずは興味を持てるような演出のある収納を心がけましょう。その上で、読みたいときにすぐに読める(動線や取り出しやすさ、取り出したときに崩れない)などの工夫を行うとよいでしょう。


 ☆お絵かき道具の収納
 絵を描くために必要な道具は一つではありません。紙、クレヨン、色鉛筆、マジックなど、絵を描くための道具をまとめて一つのグループとします。絵を描くためにグループにしたアイテムは、お絵かきのための道具としていつでも使えるように、カゴや袋などに入れてグループが崩れないように収納するとよいでしょう。

・自発的に片づけやすい環境とは
 ☆子どもが片づけるのに多すぎない量(適正な量)であること、戻す場所が(定位置)決まっていること、戻す場所までの距離や高さ(動線)が子どもにとって使いやすいこと
 ☆もともと整頓されている環境
 チリひとつ落ちていない道路とポイ捨てゴミだらけの道路。ポイ捨てする人が多くなるのはどちらでしょう。結果は明らかですね。始めから散らかっている場所なら誰も片づけようとは思いません。「片づけ」を継続させていくには、その環境が整った状態にあることが前提となります。
 ☆周りの大人の言葉かけや、片づけのタイミングを設定する
 周りの大人よる子どもへの言葉かけや対応も、重要な「片づけ環境」といえます。励ます・褒める・一緒にするなど、気持ちがそがれてしまわないよう、終わるまで見届けましょう。前もって片づけの時間を知らせおく(「〇分になったらおしまい」)「あと〇回したら…」、「ここまで…」などと区切りをつけて片づけを促すようにするのも効果的でしょう。
・叱っても逆効果??

 4歳~5歳の子どもは「言葉・概念・行動」がまだ一致していないと言われています。「片づける」という概念は、「整理」という言葉と「実際に動く」という行動であらわされますが、子どもは、言葉は言葉、行動は行動、といった別々の感じ方をしており、言葉が行動を意味することにつながっていません。だから、幼児のお片づけは、「遊び」として面白いかどうかがポイントになるようです。片づけないから叱って、「怒られるから嫌い」と記憶させるのではなく、片づけることは「面白いから好き」と刷り込むことが大事だと思います。


整理収納教育士

「自分の部屋が出来たら」小学校低学年

1. 自分の部屋を持たせるとき注意すべき点

“自分の部屋”は、自分の思い通りに、好きなことが出来る場所であり、子どものプライバシーを守るための場所となります。自立に向かっての第一歩とも言えますが、子どもに管理を任せていると、物は出しっぱなし、散らかし放題となりがちです。そこで、事前に「片づけのルール」や、「片づけしやすい環境」を作っておくとよいでしょう。
 例えば、寝る前の5分間は片づけタイムにする。ついつい増えやすいアイテムに対しては、「増えたら減らす」を守って、決めた量しか持たない。使ったらもとの場所に戻すなど、子どもと一緒に「片づけルール」を決めておきましょう。
 収納とは、取り出しやすく、戻しやすいように収めることです。そのためには、探さなくてもすぐに分かるように、イラストや写真でラベルを貼る、分類したモノが混在しないように箱で仕切る、すべてのモノに定位置(必ず戻す場所)を決めておくなど、「どうすれば片づけやすいのか」を子どもと一緒に考えながら、環境づくりを行ってみてください。ここで気をつけて欲しいのが「何でもボックス」にとりあえず放り込む方法です 。一つひとつのモノに、正確に定位置を決めておくほうが子どもは迷いません。なによりも、使うときに使いやすいでしょう。なおかつ丁寧に戻すことができるので、モノを大切に扱うことにもつながります。

2.学校で必要な教科書類

教科書類は“どこで・どんな時に・どのくらいの頻度”で使われるのかをイメージして定位置を決めていきますが、その時に“使う目的”も合わせて考えてみましょう。例えば、「教科書は学校で使うものなので、忘れないようにしたい」とするのなら、すぐに目につきやすく、取り出しやすい場所に置こうとするでしょう。(※ノンアクションでとれる収納・見える収納)
また、その準備に必要な時間割表や、鉛筆削りなど、関連するモノの定位置も具体的になってきます。さらには、毎日もっていく物をグループにしたりラベルをつけたりと、忘れないようにするアイディアがいろいろ考えられるのではないでしょうか。

3.スポーツなど習い事関連の道具

習い事関連の道具は、一つのグループにして収納する方法が便利です。○〇セットという考え方です。例えばサッカー教室であれば、サッカーに行くときに必要な道具を一緒に収めて「サッカーセット」とします収める前に、種類(ソックス、シャツ)や頻度(使用中、ストック)で分類すると分かりやすいでしょう。また、収める時に分類したモノが混在しないように、ブックスタンドや空き箱などで仕切ると、整理された状態を維持しやすくなり、さらに、たたみ方や並べ方にルールを決めておけば崩れにくくなるでしょう。そして、このような状態にまで環境を整えると、サッカーで使うモノ以外のモノがそこに入れば、違和感を覚え整理整頓したいという気持ちになるのです。

4.玩具、本など子どもの持ち物が増えてくる時期

スペースには限りがあるので、持てる量は限られるということを理解させましょう。スペースだけでなく、時間にも限りがあります。また、その子のモノを管理する能力によっても、モノの量は異なってくるでしょう。ポイントは、スペース・時間・能力と、モノとのバランスを上手くとっていくことなのです。
整理とは「今、自分に必要なモノは何か」を判断し、不必要なモノをそこから取り除くことです。周りの大人が、「要る・要らない」の判断をするのではなく、子どもが自分で判断できるような言葉かけを行ってください。
例)「入りきらなくなったおもちゃはどうすればいい?」「おもちゃがぎゅうぎゅう詰めでこわれてしまいそうだけど、どうする?」「これはここでいいのかな?」「おもちゃが仲間はずれになっているよ」など

5.洋服などの収納の工夫

小学校入学を機に、自分で洋服り出し、着て、片づけることが習慣になるような仕組みを考えましょう。そのためには、子どもが自分で取り出せる高さであることや、一人で開け閉めできる収納スペースに衣類を収めるようにします。衣類が、分類がされていなかったり、ぎゅうぎゅう詰めだったりすれば、わかりにくく、自分で出したり片づけたりすることを習慣化するのが難しくなってしまいます。あらかじめ目的や種類、頻度などで分類をし、今必要な量だけにしておきましょう。
また、「どこで着替えるのか」、「いつ着替えるのか」、「どのくらいの頻度で着替えるのか」によっては、衣類を一か所にかためる必要はありません。その衣類の使用目的や頻度に合わせて、玄関に衣類の収納スペースをつくってもよいですし、リビングに衣類の一時的な置き場所をつくってもよいでしょう。
収納方法にはオープンで引っかけるだけや、かごの中に投げ入れるだけ、という簡単な方法もあります。収納を楽しむ方法として、お気に入りの洋服をコーディネートして掛けておくと、それを着ていくことを楽しみにして毎日を過ごせるようになるかもしれません。この時期は、モノを使ったり・戻したりすることを面倒くさがらず、自分でできることで達成感や満足感を体感させてあげるようにしてください。


整理収納教育士

小学校高学年 「自立を見守りながら」

・プライベートも大事にしながら親が介入すべき部屋の整理整頓

 基本的には子ども部屋の整理整頓は子どもに任せますが、モノが元の場所に戻らず崩れてきたなと感じた時点で、親は子どもの変化に注意をはらいましょう。時間や気持ちに余裕がなくなると部屋が散らかってくる傾向があります。「部屋は心を映す鏡」とも言われます。部屋が散らかっていても片付けようとしないのなら親が介入すべきです。一緒に片付けをしながら子どもの思いを親が汲み取るのも、気持ちの整理と言えます。気持ちがすっきりしたら、部屋も自然と整理整頓されていくのではないでしょうか。

・子どもの成長に合わせて不用品の見極めのこつ 

 見極めのコツは、「使っているか・使っていないか」で判断することです。壊れてしまったものや、小さくなって着られなくなった衣類は「使っていない」ので、不用品と判断できます。また、成長とともに興味がなくなったもの、例えば、何度もクリアーしたゲームや、自分にとっては幼いと感じるおもちゃや本なども、使っていないのであれば不用品となります。
 しかし、使わないモノの中にはとても思い入れがある物があります。整理収納アドバイザーは、それを人とモノとの間に流れる“ストーリー”や“メモリー”と表現しています。ストーリーやメモリーは、所有者にしか分からないので、要るか要らないかの判断は親であっても口出しすることはできません。それを理解した上で、子どもに持つべきかどうかの判断を促してあげるとよいでしょう。

・家族の共同スペースでの片付けの工夫(家族で快適に暮らすため)

 共同スペースとは、リビングやダイニング、玄関など、家族が団らんや食事、テレビ鑑賞を楽しんだり、お客様を通したりする場所です。皆が気持ちよく暮らすための工夫としては、「個人のモノを持ち込まない」、「使ったら元に戻す」といった家族のルールを決めて、守ることです。そしてルール作りにおいて最も大切なことは、親が一方的に決めないことです。 必ず子どもと一緒に考えましょう。
 一方、住宅事情や家庭の事情から、共同スペースに私物を収納しなければならないこともあるでしょう。その場合は一部屋であってもコーナーごとや置き家具などでスペースを区切り、モノの集合化をはかっていくとよいでしょう。

・怒らずにすむ環境づくり

 
 モノの定位置が決まっていて、誰にとっても、取り出しやすくしまいやすい仕組みができていれば、使用後にモノを放置することや探すことが減るので、イライラすることも少なくなるはず。子どもに「お母さん、○○どこ?」などと聞かれて、イライラしながら一緒に探さなければならない…などということもなくなるでしょう。また、モノの定位置が決まっていれば、子どもに「お母さん、○○どこだっけ?」と聞かれたとき、「リビングの引き出しの上から3段目」などと、具体的な指示もだせるので、子どもでもすぐに何がどこにあるか分かります。モノの適正量を守り、動作動線に合った収納を心がけると良いでしょう。

 その他あったら良いグッズ
 掃除道具:クイックル(ハンディモップタイプ)コロコロ
 収納の工夫:本人に選ばせる。子どもっぽいものから大人っぽいものを欲しがる時期
 捨て方の工夫:遊び中心だった子供部屋から落ち着いた部屋に模様替え。カラフルなおもちゃなどを捨てやすくなります。

整理収納教育士